2006Korea

1 2 3 4 5

 2月18日(土)

出発当日の朝、久々のツアーが嬉しくてジャグリングをしていたらデジカメを壊してしまったようである。
ツアレポには欠かせないデジカメである。なぜならこれが無いと僕が嘘偽りを書き連ねることが可能になってしまうからである。「韓国でライブをしてきました」と書くところを「韓国でサーフィンをしてきました」と書くことも可能だし、「宇宙旅行に行ってきました」とも書けるし、はたまた「僕は宇宙飛行士になりたい」とツアレポとまったく関係なく個人的な夢を語ることも可能になってしまう。
皆さんに嘘偽りをお伝えしたくはないし、別に宇宙飛行士にもなりたくない僕は、空港で新しいデジカメを買えないかと慌てて「羽田空港BIG BIRD」のHPを調べていたら、何とか買えそうな免税店を発見。と同時にBIG BIRDの国際線ターミナルがおそろしくショボいということを発見した。

今回何より嬉しいのは近場の羽田空港を使える点である。あれだけ重い荷物を抱えてわざわざ千葉県成田市古込字古込1-1を目指さなくて済むのは感激である。(もっとも荷物が重いのは僕だけで、泉ちゃんや、キーボードを現地レンタル出来たタケシはほぼ荷物ゼロと言っても過言ではない。誰もが少なくとも僕の前では「重い〜」などと口走ってはならない。断じて。)
タケシは仕事の都合で夜の便で一人で行くことになっているため(きっとチェックインで大喧嘩するだろう)、昼の12時の羽田には泉ちゃん、僕、今回ウッドベースを弾いてくれるサポートメンバーの安田君の3人が意気揚々と集合したのだが、上記のように国際線ターミナルのおそるべき小ささにあっけにとられてしまった。まるで工事現場で臨時に建てるプレハブ小屋である。レストランは立ち食いそば屋みたいなのが一ヶ所あるだけ、チェックインしたらキヨスクの1000分の1の品揃えを誇る売店が一ヶ所あるだけ、免税店でデジカメを選ぶ時間が必要で速やかにチェックインしてしまったために、我々の昼食の選択肢はこの売店のみに絞られた。助六寿司、サンドウィッチと申し訳程度のお弁当。いずれ劣らぬまずそさを放つ究極の選択に、安田君は「今は我慢しとこっかな。。」と優れた選択眼を発揮。僕と泉ちゃんは食った。宇津救命丸よりはうまかった。

ボーディングするとふつふつと韓国行きの嬉しさがこみ上げてくる。泉ちゃんはソウルのレストランガイドブックをニヤニヤ眺め、安田君も機内食をニヤニヤと完食。僕もさっき買ったばかりの新しいデジカメをいじりながらニヤニヤしている。残念ながら希望のデジカメではなかったが、今度こそは慎重にジャグリングをしよう。一眠りしたらあっという間に金浦空港に到着。Happy Robot Recordのニーナ達が待っていてくれた。
前回の韓国ツアーでの心残りは、終始ドライバーをしてくれたHappy Robotのスタッフの名前が最後まで分からなかったことだ。今回、出発直前にニーナは僕らにスケジュール表をメールしてくれており、そこに同行スタッフの名前も書いてあったので大助かりだ。あらためてプリントアウトしたその書類を見る。

 Staff :
 Nina, Park, Shin, Driver

ガビ〜ン!
ニーナ、パクさん、シンさん、「ドリバーさん」では、多分ないだろう。もしかして彼らもそのスタッフの名前を知らないのではあるまいか。海外ツアーで一番大事な瞬間は、数多くの初対面の人の名前を覚えることである。この日初めて会ったスタッフが「イワユルです」と自分を紹介した。多分僕たちの聞き間違えだろう。でも数分後にまた名前を聞くわけにもいかず、またしても我々は海外ツアーで一番大事な瞬間を逃してしまったのである。

ホテルに荷物を置いてHard Rock Cafe Seoulへ。今晩行われるKMTVのテレビ収録イベント"Sound Flight"の会場だ。
早速、Happy Robotのスタッフ達は私たちに食事をふるまってくれた。ソウルのレストランガイドブックをニヤニヤ見ていたくらいの泉ちゃんなので韓国料理を期待していたようだが、ここはハードロックカフェ、アメリカンなものを食べる店である。「せっかくご馳走してくれてるんだからグダグダ言わないの!」といさめてもなお、微妙な顔つきで食べ始めた彼女であるが、「結構いける!」と満面の笑みで食いきった。思考よりも本能が勝つ彼女の神経系統は時に有用である。

リハーサルを終えるとタケシ登場。さっきまで日本語でしゃべる相手がいなかったせいか、彼は堰を切ったようにまくし立て始めた。いつも一緒にいるとこの上なくうるさい存在であるが、タケシの登場でようやくキップソーンらしいこの上なくうるさい感じになってきた。土曜夜8時、キップソーン全員集合!の図である。

昨年、中塚武「Laughin'」、QYPTHONE「EPISODE 1」の韓国盤が発売され、ファンの期待度が高まってきているバッチリのタイミングとあって、ライブの時間が近づくとフロアもこの上なくうるさい感じ。到着したばっかりのタケシもテンション上がりまくっているようだ。(この人は基本的に常時テンション上がりまくっている。体温100度くらいあると思われる。)

さあ、QYPTHONEのライブがスタート!
韓国の携帯電話のCMで使われている「Scooter」のイントロが流れてきて一斉に盛り上がるオーディエンス!
ガッツリ爆音の安田君のウッドベースが、泉ちゃんの妙な振り付けが、ハイテンションで繰り出すタケシの踊りが、毎日辛い料理を食べつつも更に刺激を求めるソウルっ子達をアツく踊らせる!
僕も矢継ぎ早のソングチェンジを披露し、QYPTHONEらしい、うるさく、落ち着かないライブを演出!
全員集合した我らの演奏は更に激しく会場をドライブさせ、「Boogaloo Chair」「On The Palette」と、既に音楽好きのソウルっ子達にもお馴染みのナンバーを披露!
ラストソングは韓国で大人気の「Melody」、この曲のサビに入ると観客はみな一緒に手を振って歌ってくれている!
エンディングでは、タケシの「テーハミング!」の呼びかけにパパンパパンパン!と観衆が拍手で応える盛り上がりよう!「テーハミング!」パパンパパンパン!は、日本でいう「ニッポンチャチャチャ!」。この時まさに開催中のトリノオリンピックに負けないくらいアツい会場と化して、大歓声の中ライブが終了!

お疲れさま!と乾杯をし、タケシがちょこっとオードブルをつまんだところで、今度は彼のDJタイム。DJブースに入り準備していると、ブースの前には興味津々とたくさんお客さんが押し寄せて来た。スタートと同時にタケシ踊りまくり、お客さんはケータイ持って撮影しまくり、そして彼のDJはまったくじっとしていないのできっと写真ブレまくりと思われる。
泉嬢の乱入もあり、ほとんどいつものライブ状態となり、またもや拍手喝采の嵐!
ほぼダブルヘッダーのライブをおこなった我々は、意気揚々とホテルに引き上げ、打ち上げを行うことにした。

さすがにもうどこかお店を探すには遅いので、コンビニで買い出しして僕の部屋で打ち上げ。プリングルスとか、チョコとか、結局この日、韓国っぽいものはほとんど味わえなかったが、タケシが買った韓国のお酒・百歳酒(ペクセジュ)はワインのような風味でとてもおいしかった。ようやく今日のライブの成功を勝ち取ったメンバーだけにしか出来ない話をする時間がやってきた。全員何も憶えてないくらい酔っぱらったので、残念ながら話の詳細をここに記録することが出来ないのだが、もしかしたらもの凄くいい話をしていたのかもしれない。地球を守るにはどうしたら良いのか、相対性理論に代わる物理法則について、愛とはなんぞや(←これは話してそう)、とか。
明日はニーナの予定表によると「Free Time」。思う存分韓国気分を満喫しよう。嬉しくて思わずジャグリングをしたくなってくる。



出発!左が安田君です。


韓国一食目はアメリカンですが泉ちゃん嬉しそう。


入り口の横断幕です。


ようやくタケシ到着!ライブ前に腹ごしらえ。


Hard Rock Cafeの入り口。お客さんが続々集まってきました。


ライブスタート!!


MC中。


再びスタート!


ライブ大成功!お疲れ〜!


楽屋の外に出たらサイン攻めです。


もう一丁!


写真もね!


投げキッスの泉ちゃん。


二人揃って。


お店の外に出たらもう一度サイン攻め。


これが百歳酒(ペクセジュ)。ワインのような味わい。


お疲れさまでした!



1 2 3 4 5