2006Korea

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 2月22日(水)


途方もない大寝坊をしてしまった。安田君からの電話で目が覚めた。現在13時。僕は11時からのSBSのラジオ収録をすっぽかしてしまったのである。使う必要があると予感して憶えた「ミアナムニダ…」(=ごめんなさい)という言葉を、ほんとに今回よく使っている。ホテルに迎えに来てくれた車の、その怒りが充満した車内に身を投じることは、真性Mを豪語するこのオレでさえ容易いことではない。
そのSBSのラジオ収録であるが、残念ながらその状況をお伝えすることが出来ない。かわりにちょうどその時間に見ていた宇宙旅行の夢の話をここに披露しても良いのだが、さらなる怒りを買いそうなのでそれはまたの機会に話すことにする。

EBSテレビスタジオでのリハーサル。高級感のある真っ赤なステージと映画館のような観客席、ふだんはクラシックやジャズの演奏・歌唱などを中心に収録されているらしく、日本で近い雰囲気を持つ番組といえばシオノギミュージックフェアやNHKトップランナーあたりであろうか。ユーモアとウィットに富んだおしゃべりセンスが要求されそうな、いずれにしても、体当たりギャグをモットーとする日本のずっこけ音楽トリオ・QYPTHONEにとっては一見場違いなムードだ。とはいえ今日に向けてガッツリ毎日練習した甲斐あって、リハーサルは最終調整をおこなうだけで滞りなく済む。あと考えるべきは、いかにユーモアとウィットに富んだ体当たりギャグを披露するかだ。

衣装合わせ。「スーツにしよう」ということになったが、僕はふだんそんなに着ないので、まずネクタイの締め方から思い出さなければならない。何とか着て衣装部屋から出て「どう?」と打診すると、ユウさんは「わー、カッコイイ、ペヨンジュンみたい!」と褒めてくれたが、黒ネクタイでデジカメを持っているとどうにも「葬式の手伝いに来た親戚のおじさんだ」とメンバーには不評である。という訳でノーネクタイで統一することとなった。
そしてメイク。テレビ収録は照明で顔のテカりが目立つのでドーランを塗る。眉や唇をやや強調するためのメイクは男も必要だ。安田君は「こんなちゃんとしたメイクとか初めてですよ。」と唇に真っ赤なルージュを光らせながら照れくさそうである。メインの泉ちゃんのメイクは特に念入りに。出来上がったらちょっと見ただけでは泉ちゃんとは全然わからないくらい完璧に仕上がっていた。

韓国MTVの人たちがインタビューのビデオ収録に来た。メイクも衣装も完璧で完全にセレブ気分である。セレブになりたがり女・泉ちゃんはおとなしくしているものの、口角が常時上がっているところを見ると今まさに至福のセレブ感を満喫しているようだ。

開場時間まで間がないので、ニーナに連れられてテレビ局内の食堂で手早く食事を済ませる。食後、トイレに行こうと思ったら観客が続々入ってくるので断念。肛門のあたりがアツいパフォーマンスになる懸念があったが、今はむしろライブ前の期待感で体中がアツい。ちらっと覗いてみた会場はQYPTHONEの登場を心待ちにしているお客さんで満席だ。ブザーが鳴って暗転、会場アナウンスが聞こえたりして、まさに今までのライブと全く違う雰囲気が楽屋内を包む。とはいえ我々のやることはいつもと変わるわけではない。いつものようにユーモアとウィットに富んだ体当たりギャグを繰り出すまでよ!

「QYPTHONE!」のアナウンス!
拍手喝采の中、まずは僕と安田君の2人だけが入場しMPCをスタート!
「Cutie Q」のとぼけたサンプルを叩きまくると、高級感のある真っ赤なステージの雰囲気は一転!
スーツ姿の我々に戸惑っていたようなお客さんもこの破壊的なQYPTHONEのパフォーマンスを望んでいたようで、満面の笑みをたたえながらリズムに合わせて手拍子!
安田君のウッドベースがその手拍子にバイアスをかけ、タケシが手を振りながら入場するとさらに大歓声が起きる!
キーボードに向かい体当たりのパフォーマンスを展開!
すかさず次の曲「Scooter」開始、と同時に泉ちゃんが入場。
「Scooter」が韓国で携帯電話CM曲になっていたことも手伝って、オーディエンスは「ワ〜〜!!」と大きな声を上げて興奮状態で出迎える!
やはり韓国のファンはアツくなる瞬間の盛り上がり方がストレートで素早い。
その盛り上がりに呼応して更に激しく踊って演奏していた僕、思わず足下に置いてあるエフェクターを蹴っ飛ばす。「ガー!!」といきなりギターの音が歪み、へヴィメタルな状態に!!
泉ちゃんもタケシも、ステージの赤い絨毯敷きを引き裂かんばかりに走り回り踊りまくり、挙げ句の果てにタケシは僕に「前出ちゃえ、出ちゃえ!」と促し、よっしゃ!と前に出ると今度は泉ちゃんが背中をくっつけてエアギターになる、ほんとにへヴィメタルな状態!
高級セレブな会場は、まさにいつもの我々のすっとぼけたパフォーマンスで塗り替えられ、大喝采の中エンディング!
と思ったら鳴りやまないアンコールの拍手。一度楽屋に戻った我々は、素早くスーツを脱ぎ、いつものTシャツ姿になって再登場!泉ちゃんが着替えに手間取ってるようなので、タケシがイズミコールをすると観客も一緒に「イズミ!イズミ!」と繰り返す。ようやく出てきた泉ちゃんに観客は驚いたような大歓声、彼女が着替えてきたのは韓国の民族衣装をモチーフにした衣装だったからである!これを見てみんな大拍手!
「アンコール無かったらどうしようかと思ってた〜!カムサハムニダ!」と素直にMCする泉ちゃん。
「The Happiest Street in the World」を喝采の中披露し、ステージを後にした。

お疲れさま!と握手を交わし、楽屋でポスターにサインを書いたり、EBSテレビのインタビューを受けたり、わざわざ待ってくれていたお客さんにサインを書いたりと再びセレブ感を満喫した我々。そして何よりこのツアーを取り仕切ってくれたHappy Robot Recordのみんな、カムサハムニダ!また、ラジオ収録の時の通訳だけだったはずのユウさんは、結局僕らとずっと同行してくれて、今回のツアーでとても心強い存在だった。ありがとう!!さあ、もう思う存分肛門をアツくさせても構わないのでガッツリ辛いもんで打ち上げしましょう!

「ガッツリ辛いもんが食べたい」という僕らの要望に応え、ニーナが連れてきてくれたのは韓国の居酒屋風のお店。出てくる出てくる極上の韓国料理を、高級セレブのマナーにのっとって狂ったようにたいらげる僕ら。マッコリ、百歳酒をどんどん空けていき、とことんまで成功の美酒に酔いしれた。
ニーナ、ユウさんと再会の約束をして別れ、ホテルへ戻る。タケシは後日「その日の帰りの記憶が無い」と言うくらい酔っぱらっていたらしく、僕と泉ちゃんと安田君の3人で更に部屋盛りをすることにした。明日早朝帰国ということを思い出し心配になったが、僕が「僕はこのまま起きてるから大丈夫!」と言ったら、じゃあ安心とみんなでガンガン飲んでしまった。

翌朝、泉ちゃんからの電話で気が付いた。寝ていた。遅刻である。起きているつもりだったので携帯もiPodも小さい目覚まし時計もアラームセットしていなかった。起床という事象から完全に解き放たれた状態で眠っていたわけだ。これからツアーの時、JR東日本の乗務員宿泊施設で実際に使用されている目覚まし機器、日南田電気株式会社製自動起床装置「おこし太郎」(総重量約12kg)を持って行くことが僕に義務づけられたのは、まあ仕方ないと思っている。

これにてQYPTHONEの韓国ツアーレポはおしまい!タケシだけは帰国の時間が違うため、二日酔いのまま一人でちゃんと帰れたか心配だ。その後の顛末はこちらをクリック!



高級そうなステージ。タバコのポイ捨て厳禁です。


リハーサル中。


OK、完璧ですね!


そしてホラ、衣装も完璧!


泉ちゃんに「顔は写さないで!」と言われました。
これでギリギリセーフ。


これもギリギリ。


韓国MTVのインタビュアーの方と。


EBSテレビの食堂にて。大急ぎで夕食中。


ライブがスタート!満席です!


照明が素敵です。


この後次第にQYPTHONEらしさ全開になっちゃいました。


モニターするとこんな感じ。


お疲れさまでした!
泉ちゃんが着てるのは韓国の民族衣装をモチーフにしているそうです。


ポスターにサイン中。


このハングル2文字でQYPTHONEなのでしょうかね。


インタビューの打合せをしてるところです。


インタビュー中。


よーし全部終わった!食うぞー!!


ニラチヂミとタケシ。


通訳のユウさんにプレゼントをもらいました!


タケシはこのへんから記憶が無くなっています。


翌日の成田です。家に着くまでがキップソーンですからね!



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