2003Austria

 Fr 5. Sep

 グラーツはアーノルドシュワルツェネッガーの故郷である。それゆえ彼の経営するアイスクリーム屋は、LAとここグラーツの2箇所にあるのだ。オーストリア人にとって、モーツアルトとシュワルツェネッガーは世界に誇れる有名人だそうだ。日本ではこの分野、滝廉太郎とショー小杉になってしまうので、なんとも寂しい。
 ターミネーターに一歩でも近づくには、朝から肉を食うことだ。リタイアしたと思しき現地の老人達も、平日の午前中からビールと肉を楽しんでいる。この大らかな風土がシュワちゃんのような肉体を育て上げたのだ。

 町の中心には町全体を展望できる小さな山があり、その頂上に時計台がそびえている。山の麓の洞穴の中には、かつての鉱山用のトロッコを改造したと思われる乗り物があった。連結された小さな車輌に乗り込み、運転手が洞穴の奧を案内するという趣向のものだ。ディズニーランドの『イッツ・ア・スモールワールド』のように、線路の脇のところどころにおとぎ話の人形が配置されているらしい。試みに乗ってみたが、どうやら子供向けのものらしく、僕らの他は子供と親御さんが隣同士で乗っているようだ。
 出発したが、人形はどれも長い間掃除をしていないようで非常に汚く、ディズニーランドにはほど遠い安っぽい作りである。運転手もあまりやる気が無いのか、案内とはいっても「ピノキオ…」「シンデレラ…」とただ題名をボソッとつぶやくだけであった。それでも親御さん達は「ピノキオよ」とか「まあ可愛い」とか頑張って盛り上げようとしているのが涙ぐましい。僕らはみすぼらしい人形が現れる度にゲラゲラ笑い転げていたので、だいぶ迷惑な客だったようだ。

 洞穴内のエレベーターを使って山の中腹まで行き、そこから徒歩で頂上を目指す。頂上から眺めるグラーツの建物の統一された淡い朱色の屋根は、いかにも古い西洋の街並みといった趣を醸している。夏の日差しと、暑いのに全く汗をかかない清々しさ、美しい眺望とともに味わうビールという組み合わせは筆舌に尽くしがたい体験である。
 帰りはジグザグに階段状になった山道を降りていくのだが、バブシーとクリストフはゆっくり過ぎてなかなか姿が見えない。きっと踊り場ごとにロマンチックな風景を眺めながら、筆舌に尽くしがたいラブを語り合っているに違いない。

 ターミネーターアイスを食いながらブラブラし、高級オーストリア料理店で夕食にする。泉ちゃんは体調がすぐれなかったため昼間は部屋で休んでいたため、ここからの参加となる。来て早々、僕にホモ疑惑を投げかけて大声で「ヘテロ!」とか叫び、高級店に来ている年配の客にジロジロ見られるので閉口である。
 ところで、ツアーを通じて最も量を多く食べたのがこの日の夕食だ。現在のシュワちゃんは腹ボテのみっともない体型をしているらしく、僕らの体もターミネーターというよりむしろアーノルドの実像に近づいているのだった。



川沿いの並木道


時計台


グラーツの中心地です


朝から肉食っとります


なんて優雅なブランチなのでしょう


洞窟内のトロッコ


なんてしょぼい人形なのでしょう


洞窟の中から山の中腹まで螺旋階段とエレベーターがある


エレベーターで上がった所が時計台


グラーツの町並み


最高にうまそうでしょう


デヘヘヘ、僕はもう酔っとります


ここは中庭で死ぬほど静かでした


これからツアー中の大食い最高記録に挑みます


泉ちゃん随分元気なんじゃないでしょうか


このサイズがもう1枚下にあります


昼間はこんな感じ


夜はこうなります


欧州文化首都に指定された今年のためだけ
の建物だそうで来年には取り壊されます


内部はクラブになってます